この仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。あなたの脳には「CACNA1C」という遺伝子が関わっています。この遺伝子は、神経細胞の表面にある「イオンチャネル」——情報が出入りする小さな門——の数と感度を決めています。あなたの場合、この門が多く、しかも開きやすい。だから同時にたくさんの情報が脳に流れ込みます。
ふつうの人が会議で3つの論点を追いかけているとき、あなたは7つか8つを同時に処理しています。これは「ワーキングメモリ」(作業記憶)と呼ばれる脳の作業台が広いためです。前頭前野(おでこの裏にある司令塔)がこの作業台を管理し、情報をパターンとして整理します。株価の動きと天気の関係、座席配置とチームの生産性。他の人が「ノイズ」として捨てる情報の中にも、あなたは意味を見つけ出せるのです。
1Aの「深淵の観察者」が感覚の深さで世界を捉えるのに対し、あなたは論理の深さで世界を読み解きます。心理学ではこれを「認知処理の深さ」と呼びます。表面的に情報を流すのではなく、「なぜそうなるのか」を自動的に掘り下げる脳の癖(くせ)です。この癖こそが、あなたの知的好奇心の正体です。